至上の愛

1.至上の愛 A Love Supreme(John Coltrane)

1964年12月9日、ジョン・コルトレーンの“黄金のカルテット”(マッコイ・タイナー、ジミー・ギャリソン、エルビン・ジョーンズ)で録音された ジャズ史上の最高の名演かつ名曲である。4楽章からなる組曲形式によって、「愛」に関するテーマと演奏者の精神世界を連関させて表現している。近年同バン ドによる未発表ライブ演奏が公表され、アーチ・シェップを加えての重みを増した演奏が、更なる驚きと悦びを与えてくれた。
同曲はトレーンの没後、エルビン・ジョーンズを中心としてメモリアル的に演奏をされてきている。しかし最低限の構成を守りつつ挑戦するという点で、今回のライブに見られるような多角的かつ立体的アプローチは未だかってなかったと言える。

PART1:承認 Acknowledgement
テナー同士の対照的なバトルが繰り広げられる。先行のジョージ・ガゾーンがペンタトニックをきっかけにコルトレーンの中期をイメージさせるサウンド構成 を取るのに対し、エイブラハム・バートンはロングトーン中心のアーチ・シェップのようなアプローチで攻める。森山が2人の武者を容赦なく鼓舞し、約10分 にわたる死闘が繰り広げられていく。19回の「A Love Supreme」合唱はない。

PART2:決意 Resolution
ジミー・ギャリソンに敬意を表すかのような井上陽介のベース・ソロに続き、バートンのアルトとガゾーンのテナーでテーマを力強く表現する。近接する音域がアンサンブルの重厚さを増している。

PART3:追求 Pursuance
森山威男のドラム・ソロのギラギラした太陽のような4ビートに押し出され、テナーとソプラノの壮絶なバトルが繰り広げられる。田中信正の流麗なピアノ、バートンの情熱的なテナー、ガゾーンの論理的なソプラノのコントラストが楽しめる。

PART4:賛美 Psalm
トレーンとは違い、テナー2本のユニゾンでテーマを、教会で追悼の賛美歌を歌うかのごとく粛々と、静かに壮大な曲の幕を引いている。